私は8年間、某都市銀行で銀行員をしていました。
総合職採用として営業や融資といった支店(営業店)業務や人事といった本店業務も経験してきました。
8年間という期間ながら、比較的幅広い業務をこなしきたつもりです。
今回はその経験と転職後の勉強を通じて、銀行員向けに取得をオススメする資格を5つに絞ってご紹介します。
あくまでも元銀行員である私の独断と偏見であることを予めご了承ください。
ご参考にどうぞ!
元銀行員が取得をオススメする資格とは?~銀行員向け~
今回オススメする資格の対象は、窓口事務といったエリア職ではなく、「総合職採用」としての銀行員を想定しています。
いわゆる支店長や役員、さらには頭取(社長)を目指すようなキャリアが求められる人材です。
その点を踏まえた上でご覧ください。
それでは、第5位からご紹介していきます。
第5位 銀行業務検定 外為2級
他の銀行業務検定とも迷いましたが、「外為2級」を挙げました。
理由としては、収益性の高い「外為」取引の知識が得られるためです。
その収益性の高さは顧客サイドには伏せられていると思われますが…。
超低金利が続いている現状において、融資(貸出金)だけで収益を上げるような銀行のビジネスモデルは崩壊していることは明らかです。
そのため、銀行はいかにして収益を上げるかに必死になっているのが実情だと思います。
そこで収益性の高い「外為」取引を捕捉することがひとつの手段として挙げられます。
ですが、「外為」取引はやや複雑な業務でもあるため、嫌煙されている面もあるような気がしています。
しっかりと実務面も含めた知識やスキルを身につければ大きな武器になるのですが。
ひとつの基準として、「銀行業務検定 外為2級」に合格できる水準であれば、「外為」取引に関する知識は十分にあると思いますので、あとは実務的な知識を磨くだけです。
「外為」取引の中でも、海外送金は手数料ダンピングが進み、昔ほど収益は上げられないため、やはりL/Cや為替デリバティブといった輸出入取引が狙い目でしょうか。
まだまだ高収益が狙える領域であるような気がしています。
東京や大阪などメガバンクが攻め挙げているエリアは高い営業力が必要であり、難しいかもしれませんが。
収益をしっかりと確保できる質の高い銀行員になるためにも「銀行業務検定 外為2級」の取得をオススメします。
補足になりますが、個人的な感覚としては、この「銀行業務検定 外為2級」は銀行業務検定の中でも難易度は高めです。
あと、そもそも論、銀行業務検定は厳密には資格ではないですが。
第4位 宅建士
銀行員の業務の中でも、住宅ローンや収益物件購入資金の融資といった不動産絡みの案件に取り組むことは比較的多くあります。
そのため、顧客や不動産業者交渉のほか、融資稟議を作成する上で「宅建士」として求められる知識を持っておくと業務の質は確実に上がると思います。
「宅建士」の資格取得の難易度は高めだと思いますが、その分、リターンはあるはずです。
銀行員として馴染みのある担保手続きや競売手続きなどの法的な背景や根拠もカバーすることができますので。
なお、不動産を取り扱う都市銀行や信託銀行で働く銀行員なら業務の都合上、「宅建士」の取得はマストになると思われます。
私が働いていた都市銀行では、「宅建士」を持った総合職の銀行員は数多くいました。
そのため、30代で「宅建士」を持っていないと、なんで持っていないの?といった冷たい目線で見られることもままありました(笑)
住宅ローンを担当するような銀行員には特にオススメの資格ですね。
第3位 FP(1級)
FPは3級から1級までありますが、1級まで取得することをオススメします。
簿記もそうですが、2級と1級のレベルは各段に違うので、勉強負荷は大きいですが。
FPは金融商品知識から不動産、事業承継といったように法人(ホール)というよりは個人(リテール)を担当する銀行員にとってより活かせると思います。
また、個人的な感覚ですが、2級までの知識だとあまり業務には活かせないと思います。
2級までだと広く浅い知識になりますので。
やはり、金融のプロとして見られるためには1級がマストではないでしょうか。
私が1級を持っているからこそ、その肌感覚を持っているのかもしれませんが。
ちなみに、FPは価値がないと言われることがよくありますが、1級まで取得した私としてはそのようなことはないと感じています。
なぜならば、FPで取り扱う金融商品や相続などに関する知識は私たちの生活に身近であるため、FPの知識を持っておくことでよりスマートな選択(人生設計)ができると感じるためです。
給料などのキャッシュをどのように活かしてライフプランニングすべきなのか、あるいは自身に最適な資産形成はどのような手法なのかなど、意外と活かせると思います。
なお、1級までの知識レベルであれば、その質の最大化を図ることができるはずです。
第2位 銀行業務検定 財務2級
やはり個人(リテール)より法人(ホール)を担当する銀行員の方が花形であることは事実だと思います。
そちらの方が収益も取り扱う業務難易度も高いといったこともありますので。
その法人(ホール)を担当するには、当然ながら決算書が読めないと仕事はできません。
単純に簿記における仕訳とった知識ではなく、財務分析ですね。
決算数字の裏側までを読み解く知識といったものでしょうか。
そのような財務分析はOJTやOFF-JTで叩き込まれるでしょうが、各財務分析の手法を丁寧かつ体系的に身につける策として「銀行業務検定 財務2級」の取得をオススメします。
この検定試験に合格できるレベルにあると、決算書などの財務諸表を読み解き、経営内容を分析することができるはずです。
その結果、企業金融において質の高い業務に結びつけるための土台を築き上げることができると思います。
そういったこともあるため、法人(ホール)を担当する銀行員であるならば、できるだけ早めに取得することが望ましいですね。
ちなみに、私は以前のブログでこの「銀行業務検定 財務2級」が銀行員として働く中で最も役立ったとお伝えしました。

ですが、今回は第2位としました。
その理由は、以下の第1位としてオススメする資格の部分にてお伝えしています。
第1位 中小企業診断士
私個人としては、「中小企業診断士」が圧倒的にオススメの資格になります。
銀行員時代には「銀行業務検定 財務2級」の取得が最も役立ったものになりましたが、転職後の直近1年前くらいから「中小企業診断士」の勉強を始めてみて、銀行員にとって「銀行業務検定 財務2級」よりも比較にならない位に役立つものだと感じたため、第1位に「中小企業診断士」を挙げました。
その理由としては、「中小企業診断士」の勉強内容が銀行員の法人(ホール)向け業務に幅広くかつ即効性高く直結しているためです。
具体的には、1次試験の7科目で企業経営に必要となる知識を網羅的に学習することで、企業を診るベースが確立できます。
そして、2次試験では企業の経営課題を抽出して、論述(改善策提示)するといった勉強を通じて、法人営業だけでなく、融資審査業務も含めた法人(ホール)担当の銀行員として質の高い業務を行うためのエッセンスを身につけることができます。
どの視点から見ても、「銀行業務検定 財務2級」よりリターンは大きいですね。
また、「中小企業診断士」の資格取得に向けて勉強する財務分析は当然のこと、2次試験で必要となる企業の経営課題の抽出、そして論述(改善策提示)は銀行員として、今後より一層求められるスキルになるような気がしています。
銀行員として差別化を図り、付加価値を上げるために。
私は銀行員時代に持っていなかった資格ですが、取得できていれば確実に業務の質が格段に上がっていたように思います。
ちなみに、私は今年の「中小企業診断士」試験に挑戦し、現在2次試験の結果待ちです(おそらく、不合格のような気がしています)。
実際に勉強してみて噓偽りなく、有意義な資格だと感じていますね。
「中小企業診断士」の資格取得に向けた勉強はハードですが、結構面白いので、気になるなら挑戦してみることをオススメします。
後悔先に立たずです。
さいごに
元銀行員である私の独断と偏見で銀行員向けに取得をオススメする資格をご紹介しました。
私の肌感覚として取得することで実務能力がより高まるといった基準で順位付けをしています。
もちろん、異論はあると思います。
そこまで大外れはしていないような気はしていますが(笑)
一般論として、銀行員は資格取得などの勉強が強く求められます。
その勉強内容に価値があるかないかは別として。
ですが、やはり勉強しないと銀行員として質の高い業務ができないことは事実だと思います。
そして、普段の業務だけではなく、勉強もできる人が銀行では出世しています。
銀行から転職し、心穏やかに過ごしている現在、銀行員としてだけでなく、社会人として活躍するためにも勉強習慣を根付かせることは大事なことだとつくづく実感する今日この頃です。
顧客、銀行、社会の三方よしを創出する銀行員が少しでも増えることを陰ながら期待しています。