某ネット記事にて著者である松田公太氏の経歴を見かけ、興味を持ったことから本書を読んでみました。
以下にて本書の感想をお伝えします。
章立て
- Filled with Passion 情熱を込めて
- On a Mission 使命感を持って
- Experience (“No Fun, No Gain”) 経験を積む
- Believe in Yourself 自分を信じて諦めない
- People are Everything 人こそすべて
- Visualize the Future 将来を見据えて
- Recent Update その後の出来事
感想
本書は、今や有名なタリーズコーヒージャパンの創業者である松田公太氏の起業ストーリーです。
ストーリー展開のテンポがよく、引き込まれる内容に仕立て上げられていました。
著者である松田公太氏はセネガルやアメリカで生活をしていた帰国子女になります。
幼少期に過ごしたセネガルや高校までの青春期を過ごしたアメリカにおける生活描写から、著者のバイタリティーの高さや負けん気の強さ、そして弟との絆の強さがひしひしと伝わってきました。
異国生活(体験)によって育まれた起業家精神が、今のタリーズコーヒージャパンの発展にも繋がっているようです。
激動の異国生活(体験)をした後、著者は筑波大学に進学しています。
筑波大学では体育会(サッカー部、アメフト部)に属し、日本社会の縮図を学んだようです。
いわゆる日本流の上下関係であり、帰国子女の著者としては違和感が多かったのではないかと思われます。
良い意味でも悪い意味でも。
そして卒業後、三和銀行(現:三菱UFJ銀行)に就職しています。
銀行に就職した理由としては、さまざまな業種の経営者に直接アプローチできたり、資金調達を中心とした事業計画の策定に携われるといった銀行員の仕事が、起業を見据えた際に必要なスキルやノウハウになると考えたためです。
事実、私も元銀行員であったため、そのとおりのことが一通り学べると思います。
その銀行員時代のことも多少、本書では触れられていますが、そこから三和銀行(現:三菱UFJ銀行)の性根の腐った部分が垣間見え、メガバンクを含めて、やはり銀行は悪い意味で硬直的な組織であると改めて感じましたね。
ひと昔前なので今は変わっているかもしれませんが。
その三和銀行(現:三菱UFJ銀行)を辞めると同時に、ふと出会ったスペシャリティコーヒーの普及(タリーズコーヒーの日本展開)に向けてさらにアクセルを踏み込み、加速させていきますが、そこで生じるビジネスの難しさやアメリカとの文化の違いなどから、著者がもがき苦しんだであろう姿が目に浮かびました。
そして、やっとの思いでタリーズコーヒージャパン1号店を開店するも、そこで立ちはだかる飲食店経営の障壁に幾度もぶつかり、想定通り進まない現実の厳しさが描かれています。
しかし、どのような状況においても、心折れずに前進させていく著者の姿には感服させられました。
その著者のモチベーションには、働く上での夢や人生の目的に対する強いこだわりが影響しているのではないかと感じました。
また、著者の夢であり、人生の目的でもある「文化の架け橋になる」ということが嘘偽りではなく、しっかりと腹に据えたものであるからこそ、強いストレスにもめげずに踏ん張れたのではないかと思います。
やはり働く上でも夢や目的意識を持つことが、組織にとっても自分自身にとっても大事であると再認識されました。