「老前破産」に引き続き、経済評論家であり、ジャーナリストでもある荻原博子氏の「隠れ貧困」を読んでみました。
本書のサブタイトルは「中流以上でも破綻する危ない家計」です。
荻原氏の著書は、鋭いというかインパクトのあるタイトルが多い気がします…。
以下に、本書を読んでの感想をまとめてみました。
ご参考にどうぞ!
章立て
- 高収入でも貧困が忍び寄る40代
- 「隠れ貧困」解消の基本心得
- 一見リッチな50代を蝕む「隠れ貧困」
- お金の怖さを知る人、知らない人
- 「隠れ貧困」対策編 どうしてもお金が貯まらない
- 「隠れ貧困」対策編 ローン、借金を減らすには
- 「隠れ貧困」対策編 老後資金の不安に答える
- 「隠れ貧困」対策編 病気や介護に備える
感想
本書のタイトルである「隠れ貧困」とは、外見は人並みの生活でも、貯金ができず、将来的に貧困に陥る可能性のある貧困予備軍のことを指しています。
また、著者は「危険なお金の生活習慣病」とも言い表しています。
非常に分かりやすい表現ですね。
本書では、なぜ「隠れ貧困」が多いのかについて、取材を基にその実態に迫っています。
そして、そこから「隠れ貧困」に陥らないための方法論まで触れられています。
「老前破産」に引き続き、取材を通じたノンフィクションということもあり、それぞれの事例が想像しやすかったです。
増税や社会保険料のアップによる実質手取り収入が減少しているなかで、「住宅ローン」、「教育費」、「老後資金」といった3大出費をどのように賄っていくべきか等、考えさせられる点が多々ありました。
著者は身の丈に応じた家計のダウンサイジングの他、借金を減らして、現金を増やすように指南しています。
その行き着く先の1つの目標として、「50歳で借金も貯金もゼロ」の状態が望ましいと標榜されています。
もちろん、家計やライフプランは人ぞれぞれであるため、あくまでも大まかな目安です。
その結果として、資金的に安泰な老後生活が期待できるとのことです。
理想論かもしれませんが、非常に堅実な考え方だと思います。
本書の全体を通じて、「隠れ貧困」にならないためには、住宅ローンや教育費の他、生活費や保険料等について、事前のシミュレーション(想定)が肝要になると思いました。
収入に対して、どの程度まで出費を許容できるのか。
また、そもそも収入はどの程度増えていくのか、あるいは増やせるのか。
当然、将来の不確実性も織り込んだ上で。
「隠れ貧困」になる方々は、事前のシミュレーション(想定)の甘さにより、自分の首を絞めてしまっている気がします。
ここでも、「老前破産」に引き続き、日本人の多数が該当する、マネーリテラシーの欠如が影響していると個人的には危惧しています。
マネーリテラシーが欠如していると、住宅ローンにしても、生命保険にしても、営業のカモになってしまいがちなので…。
本書を読むことで、身の丈に応じた収入(給料)の使い方のあるべき姿を考えさせられる機会になるのではないかと思います。
また、「隠れ貧困」に少しでも該当するような方は、その原因と対策を掴めるかもしれません。