経済評論家であり、ジャーナリストでもある荻原博子氏の「老前破産」を読んでみました。
本書の「年金支給70歳時代のお金サバイバル」といったサブタイトルに惹かれまして。
前々から舌鋒鋭い方だと思い、数多くの著書が気になっていたものの、手にする機会がなく今に至りましたね…。
以下に、本書を読んでの感想をまとめてみました。
ご参考にどうぞ!
章立て
- 売れない、貸せない、直せない‐住宅ローンで「老前破産」
- 「子どもの将来」という病‐教育費で「老前破産」
- 年金70歳時代を生き抜くための「基本心得」
- 気が付けば借金まみれ‐カードローンで「老前破産」
- 家族関係のトラブルは、家計の万病のもと
- お金の不安をスッキリ解消!「Q&A集」
- 40代・50代の男女100人に緊急アンケート!~老前・老後のお金の不安~
感想
自己破産は、「老後」ではない「老前」である40代と50代で約半数を占める状況になっており、その自己破産の理由としては、「生活苦・低所得」が約60%を占めています。
その現状が本書のタイトルである「老前破産」につながっています。
本書は取材を通じて、いかにして生活困窮に陥ってしまったかについて解説されています。
章立てのとおり、住宅ローンや教育費の他、カードローン、そして年金等といった普段の生活に身近な商品における闇(デメリット)というか、使い方の間違いに起因した失敗事例が主になっています。
ノンフィクションということもあり、全体として引き込まれる内容が多かったですね。
特に、4章にある「気が付けば借金まみれ‐カードローンで「老前破産」」において、私は前職の銀行員時代の嫌な仕事を思い出すことになりましたね…。
その4章では、銀行員の押し売りにより、不要なカードローンを契約することが一因となり生活困窮に転げ落ちる顛末が解説されています。
私も銀行員として、ノルマのために顧客の意向は一切考慮せずにカードローンを売り込んでいたこともあったので…。
カードローンは金利が高いため、銀行としてもそれなりの収益が見込めることから、営業担当者は毎期、結構なノルマが課されます。
本書の銀行員も、そのノルマに従っての行動の結果のようです。
元銀行員としてその心の内は理解できます…。
すべての章を通じて思うことですが、本書にて生活困窮に陥った方々は、いわゆるマネーリテラシーの欠如が根本的な問題点である気がしました。
本書で取り上げられた方々は、元々、平均より給料が低いとか生活保護を受けているといった状況ではなく、それなりの年収や待遇です。
それにもかかわらず、自己破産等の生活困窮に陥っていますので、仮に見栄や世間体を気にしての金遣いの荒さがあったとしても、マネーリテラシーをしっかりと身につけていれば、ある程度は自己防衛できるはずです。
日本人全体として、マネーリテラシーの低さは顕著なので、明日は我が身として本書の展開を捉えると、より参考になるのではないかと思います。
ご参考までに、マネーリテラシーの向上策の一手としてはFP(ファイナンシャルプランナー)の勉強(資格取得)をオススメします!