厚労省のHPにおいて、10月23日付で平成31年度と令和元年度の賃金不払残業の是正結果が報告されました。
これは労基署が監督指導を行った結果であり、支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものになっています。
どの程度賃金不払残業が摘発されているのか興味関心のある方はどうぞ!
100万円以上の割増賃金の遡及支払状況
対象事案は、労基署が定期監督及び申告に基づく監督を実施し、割増賃金の不払に係る指導を行ったものがカウントされています。
結果はそれぞれ以下のとおりです。
業種別の企業数
1,611企業(前年度比▲157企業)
※1企業当たりの支払われた割増賃金額の平均額は611万円
業種別の対象労働者数
78,717人(同▲39,963人)
※1企業当たりの支払われた割増賃金額の平均額は13万円
業種別の是正支払額
984,068万円(同▲260,815万円)
賃金不払残業の解消のための取組事例
今回の報告と併せて、実際の摘発内容からその解消策についてのポイントがまとめられた事例も紹介されています。
全部で4事例ありますが、経営者サイドの違法な人件費(コスト)カットが紹介されているため、非常に勉強になる内容でした。
以下にご紹介しておきます。
◆賃金不払残業の解消のための取組事例
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/chingin-c_r01_03.pdf
所感
100万円以上の割増賃金の遡及支払状況においては、前年度比でいずれの数値も減少していますね。
ですが、是正支払額を見ると、結構な問題だと思います…。
人件費(コスト)カットを行うべく、意図的に違法労働させている企業もあれば、単純に労基法等の知識不足により違法労働させてしまっている企業もあると思います。
いずれも問題であることは間違いないですが、人件費(コスト)カットしたいのであれば、経営者は合法的にできる方法を考えるべきですね。
一方で、労働者は搾取されないように労働時間や割増賃金等について最低限の知識をもっておきたいところです。
特に法令順守が大企業ほど整っていない中小零細企業は…。
今回、賃金不払残業として摘発および報告された企業は氷山の一角だと思うので、厚労省(労基署)には引続き、世直しとして頑張ってほしいですね。