日本経済新聞社が取りまとめた2021年度の採用状況調査において、21年春の主要企業の大卒内定者数が公表されました。
結果としては、20年春入社数比較で11.4%の減少と芳しくないデータとなっています。
ちなみに、今回のような2桁減はリーマン・ショック後の10年度以来11年ぶりとのことです。
新型コロナウイルスや米中摩擦による影響の大きさを表していますね…。
以下に、日本経済新聞社の採用状況調査と参考までに21年春卒の就職希望企業ランキングをお伝えします。
ご参考にどうぞ!
採用状況調査
今回公表されたデータは、主要企業1036社を対象に10月1日時点の内定者数を聞き、比較可能な927社を集計しています。
冒頭でもお伝えしたとおり、結果としては20年春入社数比較では11.4%の減少になっています。
大卒合計 (文化系・理工系) | 社数 | 採用内定人数 | 20年4月実績数 | 20年度比増減率 |
927 | 105,442 | 119,019 | ▲11.4% |
引用元:「2020年10月19日付 日本経済新聞朝刊」
三菱自動車やホンダといった自動車メーカーの他、電機メーカーや金融等、幅広い業種での新卒採用人数減が公表されています。
その中でも元々、新卒採用人数の多いメガバンクの減少は大きな影響がありますね。
実態としては総合職ではなく、一般職の女子学生を減らしていると思いますが…。
その他、JALとANAは新卒採用自体を中止しています。
女子学生に人気のCA職の採用が無くなってしまっていることは不憫です…。
一方で、新卒採用人数を増やした企業もあります。
デジタル化の波に乗ろうとしているNTTデータや5Gの計測機器を手掛けるアンリツ等は新卒採用人数を増やしています。
このあたりの分野を見てみると、やはり文系よりは理系の方が有利であり、今後も理系のニーズは増えていきそうですね。
また、日経新聞の記事(取材)では以下のとおりアップされています。
22年度に採用環境が元に戻るかは不透明だ。22年4月の新卒採用人数の見通しを聞いたところ、21年春入社と比べ「減らす見通し」と答えた企業の比率は7.5%と前回調査から2ポイント増えた。「全く方針が決まっていない」との回答も35.6%と約8ポイント増えた。
人材研究所の曽和利光社長は「リーマン後は新卒採用が元に回復するまで2~3年かかった。今回も同程度かかるだろう」と指摘する。
引用元:「2020年10月19日付 日本経済新聞朝刊」
就職希望企業ランキング(21年卒)
以下のランキングのデータとしては、「キャリタス就活」から引用しました。
就職準備期間を含めた2019年11月から2020年3月中旬にかけての就職希望企業調査になります。
総合ランキング、文系ランキング、理系ランキングについて、それぞれトップ10をお伝えします。
総合ランキング
1位 | 東京海上日動火災保険 |
2位 | 損害保険ジャパン |
3位 | 伊藤忠商事 |
4位 | 三井住友海上火災保険 |
5位 | 日本航空(JAL) |
6位 | 全日本空輸(ANA) |
7位 | ソニー |
8位 | 三菱商事 |
9位 | サントリーグループ |
10位 | トヨタ自動車 |
大手損保が3社もランクインしています。
またこの調査のタイミングではJALもランクインしています。
新卒採用を中止したので、現状だと変わっているような気がしますが…。
文系ランキング
1位 | 損害保険ジャパン |
2位 | 東京海上日動火災保険 |
3位 | 三井住友海上火災保険 |
4位 | 伊藤忠商事 |
5位 | 日本航空(JAL) |
6位 | 全日本空輸(ANA) |
7位 | JTBグループ |
8位 | 三菱UFJ銀行 |
9位 | 三菱商事 |
10位 | 三井住友銀行 |
大手金融が5社もランクインしています。
そのうち、大手損保がトップ3を占めていますね。
また、AIの伸展やマイナス金利による収益圧迫で叩かれている銀行が2行もランクインしているのは驚きです。
メガバンクの人気は根強さがありそうです。
やはり大手金融になるとそれなりに待遇は良いですし、周りも優秀な社員が多いと思います。
私も前職は大手銀行にいましたが、優秀な社員が多かったですね。
理系ランキング
1位 | トヨタ自動車 |
2位 | ソニー |
3位 | 東日本旅客鉄道 |
4位 | 明治グループ |
5位 | サントリーグループ |
6位 | パナソニック |
7位 | 味の素 |
8位 | 日立製作所 |
9位 | NTTデータ |
10位 | アクセンチュア |
文系とは違って、金融は1社もランクインしていません。
最人気は名実ともに日本を代表するトヨタ自動車であり、納得感がありますね。
その他、明治グループやサントリー、味の素といった食品関係がランクインしています。
BtoCビジネスかつ、身近な食品の研究開発職だとイメージしやすいですし、周りの受けというか印象も良いことが影響している気がします。
また、10位に外資系大手コンサルのアクセンチュアがランクインしていることも興味深いですね。
理系の研究等で身につくロジカルシンキングとコンサルは相性が良さそうですし。
まとめ
就職希望企業ランキングにランクインするような企業の大半が21年卒の新卒採用人数を減らしています。
一企業にとってみれば新卒採用人数を減らすことにより、中長期的に組織(人員)構造に悪い影響を及ぼす可能性があります。
1人あたりの労働生産性を高めて、少数精鋭の組織体制となれば別ですが。
このような環境下でも、採用競争力の高い人気企業に就職する学生は優秀だと思いますので、胸を張って社会人になってほしいですね。
超売り手市場だった新卒採用環境が変わってきているため、より一層、モラトリアムと揶揄されるような大学生活からは脱却しないといけなくなりそうです(元々、人気企業は買い手市場ですが)。