【社労士】割増賃金とは?

社労士

コロナによる急速なテレワークの推進や普及により、時間外労働(残業時間)が減っている方が多いのではないでしょうか。

時間外労働(残業時間)は給与(手取り)に影響するので、時間外労働(残業時間)ありきで家計キャッシュフローを考えていた結果、見直しを余儀なくされたような方もいると思います。

もちろん、少数派でしょうが、逆に時間外労働(残業時間)が増えている方もいると思います。

人によりけりですが、時間外労働(残業時間)の増減については良い面悪い面ありますね。

今回はその時間外労働(残業時間)を含む「割増賃金」について、ポイントを整理してみました。

ご参考にどうぞ!

割増賃金とは?

労基法では、使用者が労働者に時間外労働休日労働深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければならないと規定しています。

※労基法第37条第1項、第4項、労基法37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令

割増率

各時間帯に応じて、割増率は異なっています。

時間帯割増率
時間外労働2割5分以上 ※1
休日労働3割5分以上
深夜労働2割5分以上
時間外労働+深夜労働5割以上(7割5分以上)
休日労働+深夜労働6割以上

※1)1か月60時間を超える時間外労働については5割以上

一定の中小企業を除き、1か月60時間を超える時間外労働を行った場合、60時間を超える時間についての割増率は5割以上になります。

また、この規定により割増率が5割以上となる者を対象とした有給休暇(代替休暇)制度も設けられています。

上記に一定の中小企業とありますが、その中小企業の定義は以下のとおりです。

令和5年3月31日まで適用されない(猶予されている)企業になります。

業種資本金or出資金or常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他3億円以下300人以下

事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。

計算方法

割増賃金は以下のとおりに算定します。

割増賃金

=「1時間当たりの賃金額✖時間外労働、休日労働、または深夜労働を行わせた時間数✖割増賃金率

実務上では、

1時間当たりの賃金額✖(1+割増賃金率)」として、1時間当たりの残業手当等を計算して、その金額に時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数を乗じるのが一般的のようです。

1時間当たりの賃金額

割増賃金の計算に際しての1時間当たりの賃金額は以下のとおりです。

◆時間給

時間給の金額。

◆日給

日給の金額を1日の所定労働時間数で除した金額。

※日によって所定労働時間数が異なる場合、1週間の1日の平均所定労働時間数で除する。

◆週給

週給の金額を週の所定労働時間数で除した金額。

※週によって所定労働時間数が異なる場合、4週間の1週平均所定労働時間数で除する。

◆月給

月給の金額を月の所定労働時間数で除した金額。

※月によって所定労働時間数が異なる場合、1年間の1月平均所定労働時間数で除する。

◆月及び週以外の一定期間によって定められた賃金

時間給、日給、週給、月給に準じて算定した金額。

◆出来高払い制その他の請負制によって定められた賃金

賃金算定期間中に受けた賃金の総額をその期間中の総労働時間数で除した金額。

割増賃金の算定基礎から除外されるもの

割増賃金の算定基礎となるのは、所定労働時間の労働に対して支払われる「1か月当たりの賃金額」です。

例えば月給制の場合、各種手当も含めた月給を、1か月の所定労働時間で除して1時間当たりの賃金額を算出します。

このとき、以下のものは算定基礎となる賃金から除外することができます。

※労基法第37条第5項、労基法施行規則第21条

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

上記1~7は限定列挙になります。

そのため、1~7に該当しない賃金はすべて算入しなければなりません。

この7つは押さえておきたい部分ですね。

除外できる手当の具体的範囲

上記1~5については、名称次第ですべて割増賃金の算定基礎から除外されるわけではありません。

家族手当、通勤手当、住宅手当について、除外できる手当の具体的範囲は以下のとおりです。

◆家族手当

扶養家族の人数またはこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当。

【除外可】

扶養家族のある労働者に対して、家族の人数に応じて支給するもの。

【除外不可

扶養家族の有無、家族の人数に関係なく一律支給するもの。

◆通勤手当

通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当。

【除外可】

通勤に要した費用に応じて支給するもの。

【除外不可

通勤に要した費用や通勤距離に関係なく一律支給するもの。

◆住宅手当

住宅に要する費用に応じて算定される手当。

【除外可】

住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもの。

【除外不可

住宅の形態ごとに一律定額で支給するもの。

端数処理

労基法では、賃金全額払いの原則があります。

ですが、事務簡便化のため以下の端数処理が認められています。

◆1時間当たりの賃金額及び割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合

◆1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働それぞれの割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合

⇒50銭未満切捨て。50銭以上1円未満を1円に切上げ。

◆1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働それぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合

⇒30分未満切捨て。30分以上1時間未満を1時間に切上げ。

まとめ

時間外労働や休日労働、そして深夜労働には割増賃金率の最低ラインが労基法で定められています。

ですが、実態としては企業規模を問わず、労働時間の管理や把握がザルになり(悪意含む)、割増賃金の規定に則っていない事業者は少なくないと思います。

私の実体験としても大学時代のアルバイトでは、深夜労働の割増賃金が払われておらず搾取されていましたね…。

当時は無知により、そこまで気にしていなかったですが。

割増賃金はどのタイミングで発生し、どの程度支払う必要があるのか、またはどの程度受け取ることができるのかについては、使用者、労働者ともに必ず押さえておくべき事柄ですね。

割増賃金の割増率について把握すると同時に遵守徹底を!

 

社労士
スポンサーリンク
スポンサーリンク
アイリバをフォローする
スポンサーリンク