10月30日付の厚生労働省の就労条件総合調査により、「2019年の年次有給休暇の取得率」が公表されました。
年5日の年次有給休暇の取得義務化の影響を受けて、年次有給休暇の取得が促進されている職場が多いと思います。
社労士試験でも狙われやすい部分になるので、社労士受験を考えられている方はご参考にどうぞ!
※年5日の年次有給休暇の取得義務については以下のとおりです。

年次有給休暇の取得率(2019年)
以下は1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く。)になります。
全体
まずは「全体」の結果になります。
属性 | 労働者1人平均付与日数 | 労働者1人平均取得日数 | 労働者1人平均取得率 |
令和2年調査計 | 18.0日 | 10.1日 | 56.3% |
男 | 18.4日 | 9.9日 | 53.7% |
女 | 17.1日 | 10.4日 | 60.7% |
取得日数が過去最多(昭和59年以降)、取得率も過去最高(昭和59年以降)となったようです。
男女で若干違いがあることも押さえておくべき点ですね。
企業規模別
続いて「企業規模別」の結果になります。
企業規模 | 労働者1人平均付与日数 | 労働者1人平均取得日数 | 労働者1人平均取得率 |
1,000人以上 | 18.9日 | 11.9日 | 63.1% |
300~999人 | 17.9日 | 9.5日 | 53.1% |
100~299人 | 17.6日 | 9.2日 | 52.3% |
30~99人 | 17.0日 | 8.7日 | 51.1% |
企業規模が大きいほど、年次有給休暇の取得率は上昇しています。
やはり、全体の傾向としては大企業の方が労務管理について徹底されている他、人繰り的にも余裕が生まれやすいことが影響していると思われます。
産業別
最後に「産業別」の結果になります。
産業 | 労働者1人平均付与日数 | 労働者1人平均取得日数 | 労働者1人平均取得率 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 19.5日 | 15.0日 | 76.8% |
宿泊業,飲食サービス業 | 16.2日 | 6.7日 | 41.2% |
教育,学習支援業 | 18.4日 | 8.6日 | 46.4% |
上記は産業別の中での一部抜粋になります。
「電気・ガス・熱供給・水道業」はいわゆる社会インフラ企業であり、年次有給休暇の取得日数や取得率は平均を大きく上回って最も良い結果になっています。
労務管理や組織風土の素晴らしさを表していると思います。
業界ならではかもしれませんが…。
一方で「宿泊業,飲食サービス業」は今回の産業別の中で最も悪い結果になっています。
年次有給休暇の取得日数の他、取得率も両方良くないですね。
業界全体の闇の深さが垣間見えた気がします…。
そして、私が現在働いている「教育,学習支援業」についても参考までに比較対象として挙げてみました。
結果としては平均よりはやや劣る結果ですね。
実態としては、公的な教育機関だけであれば今回の結果よりは良いはずなので、労務環境が良くないといわれることの多い塾が足を引っ張っているのではないかと思います。
まとめ
政府は2020年(次回調査時)までに年次有給休暇の取得率70%を標榜しています。
ですが、今回の結果のとおり、ハードルは非常に高いです。
年5日の年次有給休暇の取得義務化を受けても56.3%という結果でしたので、もっと抜本的な施策がない限り、政府が標榜している結果には結びつかないと思います。
社労士試験としては今回の結果において、取得日数が過去最多、取得率も過去最高ということで出題が狙われそうな気がしますね。
この辺りの傾向と結果は押さえておきたい部分です。